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著作権侵害をしない!正しい引用と転載の方法&画像の利用方法

メディア企業(メディア事業をおこなっている企業)だけでなく、オウンドメディアや企業ブログ、ビジネスブログを営業活動や広報活動の1つとして運営している企業も多くなりましたね。

特にWebメディアは、参入障壁が低く、企業の規模や予算にかかわらず誰でも始めることができます。これは良い面もあれば、悪い面もあります。

最近では、DeNAが運営する「WELQ」の問題(参照:DeNA炎上騒動は任天堂が協業を見直してもおかしくない深刻な問題のはず(徳力基彦))もありますが、記事やコンテンツのパクリ問題(著作権のトラブル)はあとを絶ちません。

WEBマスターの手帳でも、2014年4月に「ブログ記事で引用する際に知らないでは済まない法律的な注意点。」を書きましたが、改めて「引用するときのルール」について書いておきたいと思います。

著作権侵害をしない正しい「引用」をしよう

著作権侵害をしない正しい「引用」をしよう

日本には「著作権法」という法律(知的財産権の一つである著作権の範囲と内容について定めたもの)があります。

この「著作権法」の第32条に「引用」について規定がされています。自分が著作権を所持していない、他人の著作物でも「引用」であれば利用してもいいとされています。

[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注5)[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。
出典元:著作物が自由に使える場合|文化庁

ここで注意しなければいけないのは「引用」として認められるにはには、ルールに従っている必要があるということです。

著作権侵害は犯罪です

このルールを守っていなければ「著作権侵害」となり、これは犯罪です。

著作権侵害は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられます。また法人が著作権侵害をした場合は、3億円以下の罰金が課せられます。(著作権者が告訴をすることで著作権侵害を犯した相手を処罰することができます)

正しい引用とはなにか

正しい引用とはなにか

まず「引用する」とは、どういうことでしょうか?Wikipediaには、最高裁判所昭和55年3月28日判決として以下の定義が掲載されています。

紹介、参照、論評その他の目的で著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録すること
出典元:引用 – Wikipedia

ブログ記事などで考えると、他人の文章(ブログ記事や書籍)の一部を記載することです。

引用として認められる条件

著作権法で定められている、著作権者の了解なく引用することができる要件には以下の7項目があります。

  • 引用する資料等は既に公表されているものであること
  • 「公正な慣行」に合致すること
  • 報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
  • 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
  • カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
  • 引用を行う必然性があること
  • 出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)

出典元:著作権なるほど質問箱

また文化庁のWebサイトでは以下の事項に注意するように記載されています。

  1. 他人の著作物を引用する必然性があること。
  2. かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  3. 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
  4. 出所の明示がなされていること。(第48条)

出典元:著作物が自由に使える場合|文化庁

この4つの条件を細かく見ていきたいと思います。1つ目に関しては「引用」をする必要がないのに、引用をするのはダメなのは説明は必要ないと思います。

明確に区別する「明瞭区分性」

2つ目の「区分されていること」は、明瞭区分性といわれるものです。

自分が書いていた文章と引用していた文章とが明確に区分されている必要があります。つまり、どこが引用した文章であるかが明確にわからなければなりません

そのためカギ括弧(「」)や引用符(”“)をつける、背景色を変える、枠線を付けるなどをして、自身の文章と区別する必要があります。

Webページであれば「引用タグ(blockquoteqタグ)」を使いましょう。

引用が自分の書いた文章より割合が多くならないようにする「主従関係」

3つ目の「主従関係」は、自分の文章と引用した文章の割合において、引用した文章が自分の文章よりも多くなってはならない、記事が「主」で引用部分が「従」の関係でなければならないということです。

「主従関係」は量だけでなく、質(内容)についても同じです。あくまでも「引用」は補足や補完するものであり、引用がメインになっているのは「引用」ではなく、ただのパクリです。

どこから引用(出典)したのかを明記する

著作権法の48条で「出所の明示」が定められており、出典元(出典元)はどこかを明記しなければいけません

著作権者が誰であるかを明記する必要がありますが、明記方法については細かく定められていません。

細かく出典元を明記してあるのが理想ですが、書籍からの引用であれば「書籍タイトル・著者名」最低でも著作物の題号(タイトル)や著作者の氏名は載せておく必要があります。

Webページやブログ記事などからの引用の場合は、著作者が不明(運営会社なのか、執筆者なのか、実名でないなど)なこともあります。そのため一般的には「Webページ名(ブログ記事のタイトル)」にそのWebページへのリンクを貼るだけの明示である場合が多いです。もちろん他の情報を載せたほうがベターです。

その方法は、それぞれのケースに応じて合理的と認められる方法・程度によって行われなければいけないとされていますが、引用部分を明確化するとともに、引用した著作物の題名、著作者名などが読者・視聴者等が容易に分かるようにする必要があると思われます。
出典元:著作権なるほど質問箱

他人の著作物を引用するときには、出所の明示(論文名や著者名を明記すること)が必要です。なお、出所の明示さえすれば全て引用として無断利用が可能、というわけではありません。著作権法で定める引用は、その引用が公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内で行われるものであることが必要です。
出典元:著作権なるほど質問箱

引用?出典?参照?参考?どれがいいのか

出典元を明記する際に使う言葉は「出典」「引用」「参照」「参考」などどれを使うのがいいのでしょうか。

私自身、迷うこともあるので、詳しい方がいらしたらご教授頂きたいのですが「広辞苑」などをもとに、どれがいいのかを検討してみました。

言葉 広辞苑 【〇〇元】として使う場合
出典 故事・成語・引用句などの出所である文献・書籍 【出典元】出所である文献や書籍を明示する場合
引用 自分の説のよりどころとして他の文章や事例または古人の語を引くこと 【引用元】出典元と同様。
参照 照らし合わせて見ること。引き比べて参考にすること。 【参照元】照らし合わせて(くらべ合わせて)参考にした場合、自分の記事と合わせて見てもらいたいものがある場合
参考 てらしあわせて考えること。自分の考えややり方を決める手がかりとすること。また、その材料。 【参考元】自分の意見や考えのもととなった話や情報を明示する場合

WEBマスター手帳では「引用元:〇〇」を使ってきましたが「出典元:〇〇」とするのが無難そうです。

個人的には、文章を引用する場合は、もとの著作物の一部を用いるので「引用元」でもしっくりくるのですが、画像を引用する場合には、画像の一部分を用いることは「改変」となりますし、画像をそのまま使うことになる「転載」になると認識しているので「出典元」とするほうがしっくりきます。

「参照元:◯◯」は資料などを照らし合わせたものを明示する場合や見てほしいものを明示する場合。「参考元:◯◯」は自分の考えや意見の元となった情報などを明示する場合に使うのがよさそうです。

引用内容や文言を改変してはダメ

著作権法の20条に「同一性保持権」があります。これは著作物は勝手に改変されない権利です。

自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利
出典元:著作者にはどんな権利がある?公益社団法人著作権情報センター

引用をする際に、内容を変えるのはもちろんのこと、文言を変えるのも厳密にはアウトです。できる限り、出典元に掲載されている原型を保ちましょう。

許可のない転載はダメ絶対!

許可のない転載はダメ絶対!

著作者の許可がなくてもルールを守っていればOKである「引用」と違い「転載」は著作者の許可があることが条件です。

転載とは

既刊の印刷物の文章・写真などを他の印刷物に移し載せること
出典元:広辞苑

一部ではなく、大部分を載せることは「転載」です。「引用」の範囲を超えたものは「転載」と認識しておくのがいいと思います。

公共機関が一般公開している資料は転載可能

例外として「無断掲載」してもOKな場合が3つだけあります。

「行政の広報資料」などの転載

行政などの公共機関が一般に公開している資料は転載ができます。

  1. 一般に周知させることを目的とした資料であること
  2. 行政機関等の名義の下に公表した資料であること
  3. 説明の材料として転載すること
  4. 転載を禁止する旨の表示がないこと
  5. 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

出典元:著作権なるほど質問箱

「新聞の論説」などの転載

新聞や雑誌にに掲載された「論説」や「時事問題」で学術的でないもの(研究などではない)は転載をすることができます。

  1. 新聞又は雑誌に掲載して発行された論説であること
  2. 学術的な性質を有するものでないこと
  3. 政治上、経済上、社会上の時事問題に関する論説であること
  4. 「他の新聞・雑誌への転載」「放送」「有線放送」であること
  5. 転載・放送・有線放送を禁止する旨の表示がないこと
  6. 「出所の明示」が必要
  7. 出典元:著作権なるほど質問箱

「政治上の演説」「裁判での陳述」の利用

演説や陳述なども転載をすることができます。

  1. 公開して行われた政治上の演説・陳述又は裁判手続きにおける公開の陳述であること
  2. 同一の著作者のもののみを編集しないこと
  3. 「出所の明示」が必要

出典元:著作権なるほど質問箱

ブログ記事で他人の画像を使うときのルール

ブログ記事で他人の画像を使うときのルール

文章だけでなく、写真や画像の著作権侵害もよく問題になりますね。

写真や画像は引用というよりも転載になるので、使用の許可がない場合は他人が撮影した写真や画像は使用してはいけません

どれだけ「出所の明示」をしても、許可がない写真や画像を使用するのはアウトです。

ネット検索で見つけた画像は使わない

よく見かける例として、ネット検索で画像を探して、見つかった画像を勝手に使用しているものがあります。

これは完全にアウトですのでやめましょう。

ネット検索で見つけた画像は使わない

自分で撮影した写真を使う

自分で撮影した写真を使うことが基本です。自分が撮影した写真であれば、著作権は自分にありますので、どう使おうと問題はありません。

ただし、肖像権の問題がありますので「人の顔」が写っている場合には、写っている人の許可を得ましょう。また当然ですが、他人の著作物を撮影して使用するなどはアウトです。

著作権フリーの画像を使う

そうはいっても、ブログ記事などで使用する写真や画像の全てを自分で撮影することは難しいかもしれません。

そのような場合には著作権フリーの画像を使用しましょう。

日本では「写真素材 足成」や「ぱくたそ」などが著作権フリーの画像を提供しています。

また著作権フリーだからなんでもOKということではありません。著作者の氏名の表示が必要であったり、写真を加工してはいけないなど、利用にあたっての条件がある場合もあります。

商用利用する場合は、商用利用が許可されているものを使いましょう。著作権フリーでも商用利用の場合は不可となっていることもありますので注意して下さい。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)

そのような利用にあたっての条件を知るうえで「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」は、ぜひとも知っておきましょう。

「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」は著作者が自身の作品(写真・画像・イラスト・音・映像など)を他者への利用について条件を提示するのに使われています。

クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。

CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。
出典元:クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン

「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」には、作品の利用の条件を表す「マーク」が4つあります。まずはこの4つを覚えましょう。

CCライセンス マーク 意味(条件)
表示 表示 作品の著作者の氏名、作品名などを表示する
非営利 非営利 営利目的での使用不可
改変禁止 改変禁止 作品を改変(加工)しない
継承 継承 作品と同じCCライセンスで公開する

この4つのマークの組み合わせ(6パターン)によって、CCライセンスの条件が明示されます。

CCライセンス マーク 意味(条件)
表示 表示 作品の著作者の氏名、作品名などを表示すること(営利目的での利用、改変が許可されている)
表示ー継承 表示ー継承 作品の著作者の氏名、作品名などを表示し、改変をする場合には、改変前と同じCCライセンスで公開すること(営利目的での利用可能)
表示ー改変禁止 表示ー改変禁止 作品の著作者の氏名、作品名などを表示し、改変しないこと(営利目的での利用可能)
表示ー非営利 表示ー非営利 作品の著作者の氏名、作品名などを表示し、非営利目的であること(改変可能)
表示ー非営利ー継承 表示ー非営利ー継承 作品の著作者の氏名、作品名などを表示し、非営利目的であること。改変をする場合には、改変前と同じCCライセンスで公開すること(改変可能)
表示ー非営利ー改変禁止 表示ー非営利ー改変禁止 作品の著作者の氏名、作品名などを表示し、改変をせず、非営利目的であること。

全ての作品に「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」が付いているわけではありませんが、他人の画像を利用する場合には「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の確認を必ずするようにしましょう。

海外のWebサイトなどで「CC0」という表記がありますが、これは著作権法上の制約などを一切課さない(営利目的であっても、許可を得ずに複製、改変が可能)というものです。

ちなみにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを自分の作品に付与したい場合は「Choose a License」にて項目を選択するだけでアイコンなどを取得することができます。

直リンクで画像を表示させない

画像を利用するときに、他人がアップロードしている画像のURLを使う(画像を右クリックして「画像アドレスをコピー」して使う)のはやめましょう。

画像アドレスのコピーはダメ

一度、自分のPCなどに画像(使用の許可を得ている画像、購入した画像、著作権フリーの画像)をダウンロードをしてから、自分のサーバーにアップロードをして使いましょう。

直リンクは著作権者のサーバーに負担をかけるので、迷惑行為でしかありません。

著作権者の許可を得ていない画像をダウンロードして利用するのは著作権違反です
追記:2016年12月20日

まず、他人が著作権を持っている写真を、無断でサーバー内にアップロードして記事内で表示させた場合には、当該写真の複製行為や送信可能可行為を行っているので、当然のことながら著作権侵害になります。
一方、写真を埋め込みリンク方式で表示させた場合、サイト閲覧者が見ている写真はリンク元のデータであり、リンクを張っている人は、当該写真を複製しているわけではないので、著作権侵害にはならないのです。
出典元:WELQなどのキュレーションメディアを著作権法の観点から分析してみた | STORIA法律事務所ブログ

ルールを守って健全な引用や画像の利用を!

ルールを守って健全な引用や画像の利用を!

ここまでブログ記事での「引用」「転載」「写真・画像の利用」について解説をしてきました。

基本的には著作権者から利用の許可を得ていれば、何の問題もありません。

しかし「引用」は、良くも悪くも許可を得なくても使用することができます。

そのようなときに相手の著作権を侵害してしまうことがないように、しっかりとルールに則って「引用」なり、画像の利用をするようにしましょう。

「引用」については、ハッキリと明確に引用であることを示し、出典元を明記しましょう

また、あたりまえですが、他人の書いた文章をそのままコピペをして使うのはパクリであり著作権侵害です。文末だけを変えるなどをしても同じです。そんな低俗なことはやめて、自分たちのオリジナル記事を作りましょう。

まとめ記事については、あなたの「まとめ記事」はキュレーションされた記事?それともゴミ屋敷記事?という記事も書いていますので、お読みいただけたら嬉しいです。

不安な時は弁護士に確認しよう

そうはいっても、心配だという方は、弁護士さんにチェックをしてもらうことをオススメします。素人が誤解で判断してしまうよりも、専門家に判断をしてもらったほうが安心ですよね。

著作権について軽く考えていたり、認識が甘かった結果、あとから著作権侵害で訴えられたり、賠償金を請求されたり、DeNAのように大炎上して企業ブランドに傷がつくこともあります。

事が起こってからではなく、防げるトラブルは事前に防ぐようにしましょう!

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