ホームページを作るときの「予算」について、依頼者側の低意識に制作者側の人がイライラしているのは、よくある話ですよね。自分も制作者の気持ちよくわかります。
この手の話は「大好物」なので、今回は自分の考えをツラツラと書いていこうと思います。かなり長文になる予定です!
長文なんて読んでたくない!という方は、先日の雑談ライブ(YouTubeライブ)で話しているので、そちらを聞いて頂ければと思います。
前置きとして自分の立ち位置
まず遠藤聡の立ち位置を説明しておきたい(全部書くと長くなるので細かいことは割愛します)と思います。リアルで遠藤を知っている人は、知っている話なので飛ばして下さい。
そもそも私がWebを生業としはじめたのは百貨店の催事企画会社のときです。営業として入社をしたのですが、10年放置されていたホームページに「もったいない」と思い、WEB担当者を名乗り出たのが始まりです。
兼任のWEB担当者からはじまった
そんなわけで、私のWEB屋としてのスタートは「兼任WEB担当者」です。
百貨店で海外催事の運営や出店業者への営業をしながら、空き時間を使ってホームページをいじったり、Twitterで催事情報を投稿したりをしていました。
ホームページ制作を受けていたことも
その後、ホームページも成果につながるキーワードでの上位表示やTwitterの投稿が営業に役立ったりと成果がではじめ、Webって面白い!と思い退社とともにWEBデザイナーさんのもとでWEBクリエイターとして勉強(新宿にあるスクールにも通ったり)を1年ほどして、ホームページ制作で個人事業届を出しました。
WordPressを使ったホームページ制作の仕事をしていたのですが、JimdoやWixなど便利なツールの台頭とともに「ホームページ制作」という仕事がこれから激戦になっていく、そして、その激戦の中で一流のWebデザイナーと戦っても勝てないと判断して、ホームページ制作業から逃げました。
そして、WEB担当者としてホームページやWebというツールを使う側に出戻り、今に至ります。求められれば相談を受けてアドバイスをするコンサルティングなどもしていますが、根っこはWEB担当者(Webマスター)です。
動画作成を受けていたことも
制作者としては昨年まで約2年間、magari Studioの運営に携わっていたこともあって、「動画制作」を請け負っていたこともあります。
制作側と依頼側の予算に対する意識ギャップ問題
さて自分の話はこのへんで、本題に入っていきたいと思います。
「制作側と依頼側の予算に対する意識ギャップ問題」とは、ホームページを作りたいと思う人が認識不足により、製作側からはありえないほど低予算でホームページ製作をしようとすることです。その予算があまりにも少ない。金額でしか判断しないことに制作側の人はイライラしているわけです。
このイライラは自分も経験したことが多々あります。ホームページ制作でもありましたが、動画製作でもよくありました。
ホームページ制作の受注側に思うこと
低単価で依頼してくる人やその場の金額でしか判断していない人(今の都民や国民はみんなそうだと思うけど)に対して怒りたくなる気持ちもよくわかります。なめられている気分になりますよね。
1年前には「WEBサイト(ホームページ)の製作費用はどうやって算出されているのか計算方法を知ろう。 | WEBマスターの手帳」って記事を書いたりもしました。
YouTubeで「頼み事をするのに対価を支払わないのは無礼千万だと思う。 – YouTube」という動画をブログ記事(人にお願いをする時に対価を支払わないのは自己中心すぎるよねって話。 | WEBマスターの手帳)とともに出したりもしました。
ただ「なんでそんな低単価で依頼しているのだ!」と怒ったり、批判をしていても何も変わりません。愚痴ってたって何も改善はしないんです。今の政治界で例えるなら「野党」とやっていることは同じことをしているとイメージしやすいかもしれません。
それよりも「なぜそういうことになるのか?」「どうしたらそうならなくなるのか?」を考えて、行動するほうが、よほど生産的だと私は思っています。
リテラシーが低い人を相手にすることを選択している
そもそも自分たちがお客様とする人を、そういったリテラシーが低い素人の方を選んでいるわけです。イライラしたくなければ、イライラしない相手(理解のある人や規模の大きい会社など)をお客様とするべきでしょう。
ココらへんの話は「独立コンサルタントでメシを食う技術!」という本が参考になると思います。(コンサルタントになれという話ではなく、誰を相手にするのかを選択するという話です。)
100万円かけて作るようなホームページを5万円とか10万円で作りたいという人は、リテラシーが低い(認識不足)人なわけです。
これは依頼側にも問題はありますが、依頼者(制作側がイライラするような人)の多くはホームページを初めて作る(外注する)という人でしょう。
勉強不足の人へのイライラするのは本当によくわかりますが、初めての人を相手にしているのですから、制作側が歩み寄って丁寧に対応する、説明するほうがいいのではないでしょうか?
工数で納得させることの限界
作っていればOKという時代は終わった「今」において制作者としては、費用に関して依頼者に「なるほど!」と納得させることが必要ですよね。
ただモノを作っていればいい時代は終わっていることを十二分に認識すべきでしょう。
お客様はドリルが欲しいのではなく、穴がほしいんだという話はご存知だと思いますが、ホームページ製作でも同じなんだと思います。
依頼者の人は「なぜホームページが欲しいのか」を読み取って、ホームページではなく、その先にある「ホームページが欲しい理由を解決するもの」を売ることができれば、イライラすることも少なくなるでしょう。
商売は戦。やるかやられるか。
ホームページ制作を生業としていくことを選んだのなら、その戦(いくさ)で相手を倒し、生き残らなければなりません。
今は同業のホームページ制作者だけが敵ではありません。JimdoやWix、ペライチが戦う相手になるでしょう。もし誰かが定年後にボランティアでホームページ制作を始めたら、その人だって戦う相手になるでしょう。
戦に道徳心なんて期待をしていたら、あっという間に殺られてしまうでしょう。食うか食われるか。
もっと情報発信をして啓蒙する
そして、本当にイライラしたくないのであれば、ホームページ製作側は今以上に「啓蒙」することが必要でしょう。
初めてホームページを作るという人や初めて発注するという人に対して啓蒙していかなければ、この問題が解決することはないと思います。
映画を見るなら1800円ぐらいと誰もがイメージできるように、ホームページをプロに依頼して制作するなら最低30万円ぐらいとイメージできるように、ホームページ制作のブランディングをしていかなければダメだと思います。
批判をする人の共通点は批判対象よりも「発信」が圧倒的に少ないことです。言いたいことがあるなら、相手よりも大きな声で言わなければダメです。
昨今のクレーマー問題でもわかるように「声が大きい人(大きな声で発言している)」が注目され、その声に人は流されます。
本当に何かを変えたければ、影でグチグチいっていてもかわりません。堂々と大きな声で自分の考えや主張を発言(発信)する必要があります。
相手にも予算がある
また依頼側にも「予算」があります。予算が少ないかどうかは、その会社がどう考えているか(どの程度、重要視しているか)に関わってくるでしょう。
予算が少ないことを批判するのはそもそもズレています。引っ越しをするときに「家賃の予算」は誰にでもありますよね。予算は20万だけど、希望を全て叶えようとすると家賃50万になってしまう。ということはよくある話(金額は例えばの話)でしょう。
どんなに頑張っても出せないものは出せません。予算内で収まる落とし所を探すことはしていると思いますが、相手の予算に対しても寛容にならないと、いらないストレスを受けちゃいますよね。
依頼側が気にしていることは「利益」
依頼者側の立場にたってみると大事なことは「会社の利益がでるかどうか」です。
どれだけデザイン性が高くても、どれだけ多機能であったとしても、利益が生まれていなければそれはゴミと同じです。もちろんどれだけ金銭的に低コストで作ったとしても利益がでていなければ意味がない。逆に1000万円かけて5000万円の利益がでるのなら1000万円だって出すでしょう。(出せるお金があるのならだけど)
また当たり前ですが依頼側がホームページを制作する理由に「クリエイターの実力やデザインや機能の素晴らしさを実証する」ことは含まれていません。
ゼロからのオリジナルであろうが、JimdoやWixであろうが「成果」がでればなんでもいいんです。逆に「成果」がでなければ、どれであってもダメなんです。シンプルな話ですね。
制作側(特にクリエイターさん)の人はこういわれると怒るかもしれませんが、これらを受け入れたうえでどうしていくか?を考える必要があると私は思います。
1日で完成しようが30日で完成しようがどうでもいい
これは私個人の意見になってしまうかもしれませんが、依頼者が欲しいのは「完成品」です。それが1時間で作られていようが、30日かけて作られていようが、どっちでもいいのです。依頼者にとって、そこは全然重要なことではないんです。
普段の生活でも同じですよね。服にしても本にしても購入する側は、それが完成するまでに、どれだけの時間が費やされたのかを気にすることはほとんどありません。
WEBマスターの手帳のテーマ作成を外注した理由
制作側の方の参考になるかもしれないので、WEBマスターの手帳のオリジナルテーマをプロに依頼をした時(2016年初旬)のことを少しだけ紹介しておきます。
WEBマスターの手帳はドメインを2012年に取得して、別のサイト名で数記事だけ公開しただけの、やる気のないWebサイトとしてスタートしました。2013年から「WEBマスターの手帳」と名前を変えてちゃんと運営をはじめました(時期は記憶が曖昧)
2013年頃から知ってくださっている方は御存知の通り、私は修業時代に「SEO」を叩き込まれたこともあって、SEOが大好きなSEOオタクです。狙ったキーワードで上位表示するとニヤニヤしちゃう人間です。上位に自分のページが表示されたことだけで嬉しくなっちゃう人間です。
なのでオリジナルテーマに変更する前からWeb検索による流入の割合が圧倒的に多いブログでした。そんなわけでテーマを変えなければいけない必須性(変えなければいけない理由)は特にありませんでした。それでもオリジナルデザインに変更した理由は3つあります。
- 表示スピードの改善
- 見た目でのブランディング
- サイト内循環の改善
この中でも一番の理由が「見た目でのブランディング」です。つまり訪問した瞬間のアピールです。
去年の今頃にTwitterでフォロワーの方に以下のようなことを言われました。
(WEBマスターの手帳と認識せずに)記事を読みながら、なんとなく遠藤さんの記事っぽいなと思っていたのですが、最後の著者で遠藤さんの記事であることに気づき、よく見たらWEBマスターの手帳でした。
また他の方には「WEBマスターの手帳をどこかで見た気がする」とも言われるることが重なりました。
それまでは有料や無料のWordPressテーマを使っていたので、他のWebサイトと見た目で差別化することが十分にできていませんでした。
見た目の印象がなさすぎたことで、WEBマスターの手帳を訪問しているにも関わらず、WEBマスターの手帳を訪問していることを認識していないという状態になっていました。
WEBマスターの手帳をより大きくしていこうと考えていたので、見た目のブランディングを改善したいと考えてプロのデザイナーさんにお願いをしました。
お陰さまで今は文章を読むよりも前の認知ができています。(SEOに関してはプラスマイナスありません。マイナスになっていないだけで十分満足です)
ブログでもWebサイトでも「小さく始めて大きく育てる」というのが私はベターなやり方だと考えています。
Webサイトのデザイン(ブログとなるとなおさら)に、公開初期でいきなり数十万円を投資するのは、予算がある会社であればできるかもしれませんが、今の御時世でそこまでできる会社は少ないと思います。
それが、ある程度軌道に乗って、次のステージへ進みたいという段階になれば、デザインなどでオリジナル性を出していくことのニーズも持ちやすいと思います。
ホームページ制作の依頼側に対して思うこと
さてここからは依頼側に対して思うことです。初めての依頼する時は知らないことばかりでしょう。
お互いハッピーになれるように心がける
依頼する人も商売をしているわけで、慈善事業やボランティアをしているわけでないことはよくわかります。
出費が少ないことに越したことはないでしょう。安く仕入れて高く売るのは商売の鉄則ですよね。
でも依頼する相手も人間です。相手が嫌な思いを持ちながら自分たちの頼んだ仕事をしているのがいい状態かといえば、そんなことはないでしょう。
製作をしてくれる人に対してリスペクトを持って、依頼側の制作側も気持ちよく仕事ができるように、お互いがハッピーの状態になるように心がけましょう。
制作側も気持ちよく楽しく仕事ができれば、より良いモノ(130点のもの)が出来上がると思います。制作側が嫌な感情を持ちながらでは100点のものはできてもそれ以上はできないでしょう。より良いものを作ってもらったほうがコスパは断然上がりますよね。
もし予算が少ないことがわかっているのなら、相手をリスペクトするとともに誠意を見せましょう。クリエイターも人間です。あなたの態度がどうかによって、支払いを分割にしたり、後払いにしたりしてくれるかもしれません。
提示された金額にいきなり反応しない
もちろん見積金額を素直に受け入れろということではありません。依頼をしたときに制作側から「見積もり」がきて、予算を大きく超える金額が書かれていても、いきなりNOと言わずに、なぜそれだけの金額になっているのかに目を向けましょう。
もしかしたら相手に失礼な(リスペクトのない)金額を提示しているかもしれません。
きっと依頼側の人も、自分の商売でお客様から、ありえない低額や提案を提示されたら怒るでしょう。例えば以下の動画のように。あなたがそんなお客にならないように気をつけて下さい。
動画の日本語解説:デザイナーが馬鹿げたタダ働きにNOと言うべきことが分かる動画| 広告制作・広告デザイン事務所 AMIX
制作側へのリスペクトを持って、適正な報酬を支払うことを心がけましょう。
相場を判断基準にしない
「見積もり・相場に関する相談一覧 – みんなのお仕事相談所【クラウドワークス】」などを使って、相場を知っておくことは、依頼する時に相手を不愉快にさせない(ありえないほどの低額を提示しない)ためにも大事なことです。
相場を判断基準にしてしまう人がいますが、それは機会損失をしているかもしれません。相場とはあくまでも参考です。
実現したいこと(依頼内容)や依頼する相手(製作側)によって、必要な費用は変わります。相場の金額が全てにおいて正解の金額ではありません。
相場よりも高い理由はなぜなのかを考えましょう。超一流のクリエイターに依頼をしたら相場で受けてくれるなんてありえないでしょう。費用の理由を考えずに相場という「他人のものさし」で判断するのはやめましょう。
安い理由を考える
安い方がいいと安易に考えてしまうのは危険です。安いには安いなりの理由があります。
その理由に納得しているのならいいですが、理由もわからずに金額だけで安い方へ飛びつくのは、あとでトラブルが起こったり、作り直しになって、予定よりも倍の費用がかかったということも起こりえます。
自分たちの選択に責任を持つ
費用がかかるから自分たちでやる。というのも選択の1つです。選択には結果が伴います。
ホームページの製作だけやって、あとは自分たちでやりますということが悪いことではありません。でもその選択をしたのなら、製作後の一切(セキュリティやバックアップなど)の責任はあなたにあります。
誠実な制作者であれば、製作後の運営を自分たちでやることのメリット、デメリットを説明していると思います。こういうところに注意して下さいねと言ってくれているはずです。
それらに耳を傾けないというのも選択です。そしてその選択の責任は依頼側にあります。これは製作時の制作側からの提案や提言についても同じです。
【結論】依頼側も制作側もマスターベーションしてるだけ
依頼側にも制作側にも良し悪しはあると思います。酷い依頼者もいれば、酷い制作者もいます。
ただこの「予算ギャップ問題」は、依頼者も制作者も、互いに相手のことを考えていなすぎる(思いやりが足りていない)ことで起こっていると私は思います。
クリエイターで依頼者のことを考えず、デザインの素晴らしさを論理的に語らずに「ただ素晴らしいんだ!」といっているのも、制作者のことを考えずに自分たちに都合でしか考えていない依頼者も、マスターベーションしているだけです。
そんなことでは、いつまでたってもお互いにハッピーになれることはないでしょう。
依頼側と制作側、どちらが偉いという、上下にわけること言う人もいますが、それは考え方のレベルが低すぎます。なにより上下に分けるのは差別です。(左右に分けるのは区別)
人間誰しも一人では成しえません。お互いに思いやりを持って、お互いがハッピーになれるように心がけるだけで、気持ちよく仕事ができて、いいホームページが出来上がると私は思います。
この「ホームページ製作側と依頼側の予算ギャップ問題」あなたはどう思いますか?