こんにちは。遠藤(@webmaster_note)です。企業のSNS担当者がSNSで炎上を起こさないようにするためには「報連相」が、とても大事です。
先日「ゆうこす」さんが「腕を怪我した」ということでTwitterで炎上に近い騒動が起こっていました。この騒動が「報連相」が大事だよという、とても参考になる事例だったので、一連の騒動の流れとともに、どうしたら良かったのかを考えてみたいと思います。
怪我の件に関して「嘘ついてる!」というリプを頂いてて、言葉選びのミスなのかな😭最初から何も嘘ついて無いです💦ごめんなさい!仕事現場で不慮の事故があって両腕を痛めて、補助してもらいながら生活してたけど、先生もびっくりするレベルで回復して今..という感じです!ご心配をおかけしました..😭 https://t.co/wXRHAMqmCt
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 27, 2019
企業のSNS担当者として、この事例から大いに学ばさせていただき、御社では同じことが起こらないようにするための、参考にして頂ければと思います。
SNSでも「報連相」は大事
「報連相」と聞くと、会社で部下が上司にするもの(報告・連絡・相談)を思い浮かべると思います。SNSでも報連相はとても大事です。
企業アカウントで、なにか炎上が起こったとき、なにかトラブルがあったときには、フォロワーやファン、顧客に対して、正しく報連相をすることで、騒動を大きくせず、最小限に抑えることができます。
気をつけなければいけないのは「報連相」をすればいいのではありません。次の4つが伴っていることが重要です。
- 詳細を伝える
- 具体的に伝える
- シンプルに伝える
- 逐一、伝える
報連相をする場合に、詳細がなく大雑把にしてしまったり、具体的な情報がないと、受け手としては不明点が多く、正しく状況を把握することができません。
また、様々な受け取り方ができてしまうような伝え方では、より混乱を生んでしまいます。
そして、報連相をする頻度も重要です。事の始まりだけ伝えて、その後の報告や連絡がないと「いまは、どうなっているのだろう?」という混乱を生んでしまいます。とにかく逐一、報告や連絡をすることで、受け手の人の心配や誤解を解消することができます。
では、事例をみていきましょう。
「ゆうこす 両腕怪我」騒動
まず事の発端は、2019年7月22日に、Twitterでの、ゆうこすさんのツイートです。
【お知らせ】
本日、菅本裕子が出演を予定しておりましたヤプリ様主催「Mobile Marketing Update 2019 in 大阪」ですが、急な怪我により出演をキャンセルさせて頂くことになりました。ご関係者様、登壇をお待ち頂いておりました方々、大変申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
KOS .inc
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 22, 2019
ヤプリ主催のイベントに怪我のため出演できなくなったというものです。私は、この時点ですでに大きなミスがあったと考えます。
このツイートに対するリプライを見るとわかりますが、多くの心配の声が寄せられています。
この時点で「怪我」について詳細が伝えられていません。「怪我」といっても、突き指から骨折など幅広いですよね。ただ「怪我」としか伝えないと不明点が多く「イベントに出られないほどの怪我なのか?」「大丈夫なのか?」と、必要のない心配や誤解を生んでしまいます。
この時点で、病名がなくとも、どういう状態なのか、どの程度の怪我なのか、どれくらいで治りそうなのかなど、詳細を伝えておけば、騒動も小さく済んだように思います。
さらに同日(7月22日)に怪我により文字が打てないというツイートもありました。
ゆうこすです!マネージャーに打ってもらっています。
今回は私の怪我でファンの皆さんにご心配をおかけし、そして関係各所にご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ございません。
両腕を負傷してしまいました。引き続きインスタなどの更新はスタッフに代理で打ってもらい発信します!— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 22, 2019
とはいえ、ここまでなら騒ぎはここまで大きくならなかったでしょう。騒動が大きくなり始めたのは「明石ガクト」さんのツイートです。
みんな、気をつけろ!ゆうこすのオフィスに行くと、かなりの高確率でピンクの花🌸の付いたカワイイ度満点のスリッパを履かされるぞ。証人は36歳男性経営者 is 俺だ!(3ヶ月ぶり2回目の悲劇) pic.twitter.com/S2kFKYoazh
— 明石ガクト (@gakuto_akashi) July 25, 2019
このツイートは2019年7月25日。ゆうこすさんが怪我をしたとツイートした3日後です。このツイートの写真で、右側にゆうこすさんが腕を伸ばして写真を撮っているのが写っています。写真の撮影日が怪我のまえか後かはわかりませんが「あれ?怪我は?」「怪我は嘘?」と疑問や不信感を持った人も多いでしょう。
ヤプリのCEO、庵原さんも冗談っぽくツイートをしていました。
鏡に映る両腕は、、。俺は、夢を見ているに違いない。 https://t.co/1Wqr0Bt93A
— 庵原保文(Yappli ヤプリCEO) (@ihaemon) July 25, 2019
2日前の23日には次のようなツイートをしていました。
おはようございます!不慮の事故で両腕を負傷してしまって昨日は精神的にもきてたのですが、、反省はしても、ずっと落ち込み続けてもしょうがないので、出来ることから始めてます!みんなからの暖かいメッセージや、サポートしてくれる会社のみんなの優しさに感謝してもしきれません。頑張ります!
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 23, 2019
のちに「両腕を痛めた(全治1週間程度)」であったとわかりますが、その怪我の内容に対して「不慮の事故で両腕を負傷」という言葉は適切ではなかったでしょう。普通の人なら「どれだけ大怪我を負ったんだ?!」と認識してしまうように思います。
そして24日には、多少は回復したが、まだ風呂や着替え、食事などはサポートが必要とのツイートがありました。それもあって25日の明石ガクトさんのツイートから「たった1日でスマホを持って写真を撮れるほどに回復したのか?」ここで疑問と不信感が出始めてしまったのでしょう。
体調の方ですが、少しずつですが回復しています😊!怪我した初日はスマホを持つのもやっとだったのですが、今は持てます!お風呂や着替え、起き上がったり食事はまだサポート必須なので頑張ります😭ご心配をおかけしてしまい申し訳無いです..治療に専念して、早く元気な姿を見せられるよう頑張ります!
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 24, 2019
ここで「サポート」というのも具体的ではなかったように思います。人によって「サポート」の定義やイメージが異なって、必要のない誤解を与えてしまいそうですね。
25日にはツイキャス(音声のみ)で配信をしていました。このアイキャッチ画像を見て「あれ?」と疑問を持った人もいるかもしれません。
モイ!〜ゆうこすキャス配信中 〜
https://t.co/el2HXGMHaK— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 24, 2019
そして騒動の決め手になったのが、7月26日のTwitterでのライブ配信です。
日本経営合理化協会さんで今講演会をやってるのですが、ライブ配信についての説明をするより一回やった方が早いと今判断したので配信します、、めちゃくちゃ面白い、、 #日本経営合理化協会 https://t.co/f78JqGxCg9
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 26, 2019
このライブ配信の後に「無事に回復している」とのツイートがありました。
【お知らせ】
先日より両腕を痛めていた件ですが無事回復しています!仕事で筋肉や筋を痛めてしまい、一時は本当に動かせず痛すぎて精神的にもきてたのですが…本当に今回はご心配をおかけしました。ご報告です!— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 26, 2019
この「回復している」というツイートを、ライブ配信の前にしておけば、反応は変わったでしょう。またどの程度まで回復をしたのか、なにができるようになったのかなど、詳細を報告しておけば、ここで、収束に向かったようにも思います。
また「怪我」が「両腕を痛めていた」となった点も、最初から「両腕を痛めた」としておけば、反応は違ったかもしれません。
「ゆうこす 両腕怪我」騒動は、どうしたら騒動にならなかったのか?
ここまで一連の流れをザッとみてきましたが、炎上対策をしっかりと考えているSNS担当者の方ならお分かりになると思いますが、やはり「報連相」が足りていなかったように思います。
特に冒頭でも書いた「大事な4つ」が、全て不十分だったのも、騒動が大きくなってしまった要因の1つでしょう。
最初の段階で、怪我の度合いや状態などの詳細をツイートしておけば、必要のない心配や疑惑も生まれなかったでしょう。
私は、改めて「初期対応」が、どれほどに重要であるかを感じました。
また「今は、こんな状態」であると、怪我の具合を逐一、ツイートしておけば、明石ガクトさんのツイートや、26日のライブ配信でも余計な騒ぎにはならなかったでしょう。
やるなら最後まできっちりと報連相をする
最初の「怪我をしてヤプリのイベントに出られなくなった」というツイートをするのなら、その後、怪我が完治するまで(支障がでなくなるまで)、逐一、しっかりと報告をすべきだったのでしょう。
ゆうこすさんも、反省のツイートをしています。
怪我の状態や、経過を最初から細かく全部伝えられてなくて本当にすみませんでした。病名などは言われてなく、「筋肉と筋を痛めているね」と先生に聞きました。1週間ほどで治るかな、様子見ですと言われてましたが、4日ほどで治りました。ご心配をおかけして本当に申し訳ないです。
— ゆうこす #共感SNS (@yukos_kawaii) July 27, 2019
この内容「病名などは言われてなく、「筋肉と筋を痛めているね」と先生に聞きました。1週間ほどで治るかな、様子見ですと言われてました」を最初の時点で伝えておけば、こんなに騒動にはならなかったように思います。また、治ったとき(4日目)に「治りました」と伝えておけば完璧だったでしょう。
企業のSNS担当者としての学び
今回の騒動、インフルエンサーだから起こるのでしょと甘く考えてはいけません。
「イベントが中止になった」「商品の発送が止まった」「店舗でトラブルがあった」など、炎上の火種になるトラブルが起こりえる限り、企業のSNSアカウントでも、ゆうこすさんのような騒動(または炎上)は十分に起こりえます。
まず出来事を騒動にしないように連絡をする。騒動になってしまったら、できる限り大きな騒動にならないように、報告をする。
トラブル時に大事なことは「詳細を具体的にシンプルに、逐一、伝える。」これに限ります。
また「このツイートをしたら、どう思うだろうか?」という配慮も必要です。関係各社や顧客、ファン(今回で言えばヤプリの人や、出演できなかったイベントに参加していた人、心配しているファンなど)が、どう思うのかを想定して行動することも大事です。自社の見えかた(見られかた)を意識するということでもあります。
SNS担当者はアンテナをはって想定をしておく
SNS担当者は、日頃からSNSでの騒動や炎上にアンテナを立てて「もし自社で起こったらどうするか」「どうしたら良かったのか」を考えるようにしておきましょう。
他の人の不幸から学ぶのは気がひけるかもしれません。でも、いかなる事故でも、事故調査を行い、同じ事故が起こらないようにする。それが他社のトラブルだったとしても、自社で同じことが起こらないようにするでしょう。それと同じです。
「同じ不幸が起こらないようにする」これは大事なことだと、私は思います。