「動画元年」といわれた2014年から早5年。様々な企業がマーケティング戦略において動画の活用を検討するようになりました。
2018年の動画広告市場は1,843億円と昨年対比で134%となり、2024年には約5,000億円が見込まれています。このように、昨今マーケティングにおける「動画活用」は急速に拡大しています。(サイバーエージェント オンラインビデオ総研調べhttps://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=22540)
その一方で、「ターゲットに届いているのか?」「効果的な動画とは何か?」と、手探り状態の方も多いようです。
そこで今回は動画広告の新潮流「ビデオリリース」を例に挙げ、動画広告の前提となる「動画には本質的にどんな特徴があるのか?」についてお話しします。
これを知ることで、実際の動画制作で大きなアドバンテージとなるためです。
1、動画には、時間軸がある
まず、動画と静止画の違いについて、簡単に比べてみましょう。
動画→動く・音がある / 静止画→動かない・音はない
もちろん正確にいえば動画は「動かない」ものも、「音がない」ものもあるわけですが、細かいことは一旦、置いておきましょう。そもそも動画では被写体が動き、静止画は動かないのはなぜでしょうか?
それは動画それ自体に「時間」という成分が含まれているからです。「時間」がなければ被写体は動きませんし、音が鳴ることもありませんよね。もう少し突っ込んで言うと、動画には「時間軸」があると覚えてしまうと便利です。
時間軸とは、幾つかの辞書を引くと「始まりから終わりへと経過していく時間の流れ」とあります。動画はまさに「始まりから終わりへと経過していく時間の流れ」があり、静止画にはありません。
つまり、動画→時間軸がある / 静止画→時間軸がない
そして動画には時間軸があることで、重要な特徴が2つ生まれます。それは、、、
①情報に「順序」が生まれる、②情報に「制限時間」が生まれる
この2つの特徴こそが、動画制作での最大のポイントなのです。
2、情報に順序が生まれる、とは?
動画には時間軸があり、始まりから終わりへ向かう中で、情報を変化させることができます。そこで、共通項のある情報をまとめて、幾つかのブロック(シーン)を作り、ブロックを配列していきます。これが基本構造です。食べ物で例えると、動画はパフェのイメージです。
※画像はイメージです。
パフェは、作り手が食べて欲しい順番を考え、器に盛っていきますよね。動画はまさにパフェのような構造で、視聴者は「作り手が決めた順序」で、情報ブロックを一つずつ見ることになります。また情報に順序があるため、複数の情報ブロックを同時に見ることができません。
一方で、静止画は時間軸がない、いわば平皿に乗ったデザートです。静止画は動画と違い、どの順番でどの情報を食べるかは、見る人の自由です。また情報のすべてを同時に見ることもできます。
※画像はイメージです。
つまり動画と静止画では、情報を盛る器が違う、その深さが違うと言えます。
例えば高度なテクノロジーなど、難解な事柄を説明するとき、器の深さは重要な武器になります。情報をブロックに分け、情報を前提から細部へと段階的に理解してもらうことで、視聴者をより深い理解へと導きやすいからです。
NewsTVはこのように難解な商品やサービスなどを、60秒〜80秒前後の動画に落とし込み、わかりやすく伝えることが得意領域の一つです。それは制作者が感覚や感性ではなく、動画の本質的な構造を理解し、理論に基づいて制作しているからです。
- 動画は情報の表示に「順序」がある
- その順序を利用することで、視聴者の理解を深めることができる
3、制限時間が生まれる、とは?
動画は時間軸があることで「順序」が生まれる一方、情報の表示には「制限時間」が生まれます。制限時間は動画全体でも発生しますし、ブロック単位でも発生することになります。
一方、静止画には時間軸がないので、制限時間はありません。情報をどれだけの時間をかけて見るかは、視聴者の自由です。
- 動画は情報の表示に「制限時間」がある
そしてこの制限時間が、動画制作で最大のポイントとなる「情報量のマネージメント」において大きな意味を持ちます。情報量のマネージメントを制する者が、動画を制すると言って良いほど重要なものです。
では続いて、その「制限時間」についてもう少し考えてみましょう。
4、情報量のマネージメント、とは?
例えば上の図のように60秒の動画の中に、大きく5つのブロック(シーン)があるとします。これらブロックは12秒、14秒、10秒、16秒、8秒といった時間軸を持っており、言い換えれば、その情報の表示に制限時間が発生しています。
動画の制作者は、その制限時間内で「視聴者が理解できる情報はどれくらいか?」。ブロックに詰める情報の量をきちんと考えなくてはなりません。
極論を言うと動画の制作というのは、制限時間付きのブロックに「どれだけの情報量をつめるのか?」この判断の繰り返しと言えます。つまり「情報量のマネージメント」です。
5、情報量の臨界点を考える
例えばテロップなどに代表される「文字」情報について考えてみましょう。ある海外の研究によると、人が読める文字の平均数は10秒間に80-90字だそうです。これは集中した状態での話で、実際の動画に詰め込める文字はもっと少ないかもしれません。
また別の調査では、人は1秒間で13文字以上は認識できないというデータもあるそうです。
いずれにしろ、このブロックに含まれる情報量が、視聴者が理解できる限度を超えるとどのようなことが起こるでしょうか?
それは、視聴者は「動画を見ることをやめる、離脱する」のです。
ここで大切なのは、動画にどれだけ多くの質の高い情報を詰めていようが離脱されれば、伝わる情報はゼロになるということです。また、このルールは動画と静止画の大きな違いでもあります。情報の表示に制限時間がある動画とそれがない静止画とでは、クリエティブの組み立て方が根本的に異なるのです。
では、動画の情報量は少ないほど良いのか?
もちろん答えは、Noです。ブロック内の情報量が少ない、展開がスローリーな動画は視聴者が離脱します。特にWeb動画の視聴者は情報処理能力が高く、ある程度は類推で処理することもできます。つまりまとめると、、、
- 視聴者が処理できる情報量の臨界点を判断し、それを超えてはいけない
- その一方で、視聴者を飽きさせない充分な情報量とテンポが重要である
そしてこの臨界点の見極めは作り手の感覚や感性ではなく、過去の豊富なデータに基づき判断していく。これがNewsTVの考え方でもあります。
6、動画制作は、わんこそば
動画制作というは「わんこそば」のようなものだと考えると、わかりやすかと思います。わんこそばの作り手は、視聴者に食べてもらう蕎麦(情報)を最適な量で、テンポで視聴者の器に入れていくことが求められます。
蕎麦の量が多すぎたり、サーブのスピードが早いと視聴者は食べきれず、食べることをやめるでしょう。逆に蕎麦の量が少なすぎたり、サーブが遅すぎるとやはり視聴者は席を立つでしょう。
最適な量とテンポで蕎麦を器に入れ続け、最後まで蕎麦を食べ続けてもらう。その結果として、動画の最初から最後までの視聴、つまり完全視聴が達成されます。
NewsTVでは、視聴者がどのようなタイミングで思わず箸を置いてしまうのか?ミクロとマクロの視点で、その離脱ポイントの分析を繰り返しています。そのデータに基づいて、クリエイティブを構築しているのです。
7、NewsTVが生んだ新しい動画広告「ビデオリリース」
これまでご説明してきたように、
- 動画の特徴をつかみ
- ターゲットや動画の特徴に合わせて編集
- 多くの視聴数・完全視聴率を確保する
ことができるツールとしてNewsTVが開発したのがビデオリリースです。
ビデオリリースとは、伝えたい情報を約1分程度の動画にまとめ、届けたい人にターゲティングして配信するサービスです。
興味がある、ちょっと話を聞いてみたいという方は、お気軽にお問合せ窓口(https://newstv.co.jp/contact/)よりご連絡くださいませ。