つねづね考えていることがあります。それは「キュレーション」があまりにも手軽なものに成り下がっていること。
WEBマスターの手帳でも「まとめ記事」を出していますが、一度もキュレーションメディアを名乗ったことはありません。もちろん自分が「キュレーター」であると名乗ったこともありません。
それは「キュレーション」とは、崇高で、洗練された高次元の産物(クリエイティブ)だと思っているからです。自分がキュレーターを名乗るなんて恐れ多くてできません。
寄せ集めているだけではキュレーションではない
「キュレーションメディア」が流行り、あちこちで「キュレーション」という言葉を耳するようになりました。
もちろん「キュレーションメディア」として成り立っているところもありますが、低品質であり、そもそも「キュレーション」できていないと感じることも少なくありません。
特に「まとめ記事」として公開されている多くは、ググって上位表示されたページの内容を寄せ集めているだけと感じることが多いです。
単なる「まとめ記事」としてはそれでもいいかもしれませんが「キュレーションしています!」というのであれば、寄せ集めているだけでは成り立たないでしょう。
取捨選択をして新たな価値をもたらすのがキュレーション
ネット検索をして見つかった情報を寄せ集めて羅列することはキュレーションなのでしょうか?
キュレーションとは、取りまとめられ、整理されたものに、人間がその質を評価することを通じて付加価値を与えることである。
引用元:キュレーション(スティーブン・ローゼンバウム/著)
私は、キュレーションとは、その題材に関して広い知識を持つ人が、全体(例:A~Z)から、テーマに合わせて必要なコンテンツ(例:C、J、M)を取捨選択をして、新たな価値をもたらすことだと考えています。
例えば、欧州サッカーチームという話題で、誰もが知っているような有名チームを羅列することはキュレーションではなく、イングランド、リーガ・エスパニョーラ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグ・アン、スコティッシュ・プレミアシップなど各国のチームをよく知る人が、その人独自の価値基準によって、テーマに合ったチームを取捨選択して載せること。そしてその取捨選択によって新たな価値がもたらされることが「キュレーション」だと私は考えています。
選択・選別がされているかどうか
その「まとめ記事」に載せている情報が、全体から選び抜かれた情報なのか。テーマに合わなかった情報を捨てる(掲載しない)という判断があったのかどうか、それがキュレーションであるか否かをわけるのです。
見つかったもの、目に入ったものを選択もせずに拾って集めているだけでは、外を出歩いて、目についたものを拾って、家をゴミ屋敷にしているのと同じです。
1つのテーマに合わせて拾うもの、拾わないものを選択して、拾ってきたものをゴミにせず、付加価値を与えることがキュレーションです。
寄せ集め記事はキュレーション記事ではありません。キュレーション記事(あるいはキュレーションメディア)であるには、数多くの情報から取捨選択をしたうえで、残ったものに今までにない新たな価値をもたらしていることが必要です。
キュレーターを目指すとはDJを目指すということ
言葉で書くのは簡単ですが、取捨選択をして付加価値を与えるのは容易なことではありません。
もともとキュレーションやキュレーターとは「博物館」や「美術館」などで展覧会の企画や構成などを行なう人のことです。
その世界を深く理解して、森も木も見えている人でなければ、キュレーションはできないでしょう。
その人の「表現力」を通じて、取捨選択したものを昇華させること。新たな価値をもたらす人がキュレーターです。
私はDJもキュレーターだと思っています。曲自体は様々なアーティストの曲を使っていますが、その場の雰囲気や盛り上がりに合わせて、どの曲を流すことは、10曲流すのに10曲しか知らない人にはできません。
1,000や10,000曲が頭のなかにあって、そこからその人のフィルター(価値観や表現力など)によって選ぶからこそDJなのです。
新たなものを生み出そう
キュレーションとはクリエイティブです。キュレーションをうたう、キュレーターを名乗るのなら、集めたものを使って、新たなものを生み出しましょう。
クリエイティビティとは、新たなものを有意義な形でこの世に生み出すことである。
世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ発想力の鍛え方(クリスチャン・ステーディル、リーネ・タンゴー/著)
クリエイティビティの核は、問題を新たな視点でとらえる能力、もつれた状況でも目標を達成する能力、物事を反対側から見る能力にあるという。
世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ発想力の鍛え方(クリスチャン・ステーディル、リーネ・タンゴー/著)
AをAのままにするのではなく、新たな価値を与えることがキュレーションの大前提だと私は考えています。
ただ「まとめ記事」を作るのではなく、そこに載せる情報に新たな価値を与える。さらに何を載せるのか、その選択にあなたの色を加えることを心がけて下さい。
コピペや著作権侵害は盗作・盗用!それは低俗がすること
ここ数日、DeNAが運営する医療情報サイトWELQ(ウエルク)の盗作(著作権侵害)やデマ記事問題(DeNA炎上騒動は任天堂が協業を見直してもおかしくない深刻な問題のはず(徳力基彦) – 個人 – Yahoo!ニュース)が大きくなっています。
コピペしたり、承諾なく流用することは「泥棒」です。
もちろん完全にゼロから何かを生み出すことは、今の時代、ほぼ無理です。ですが、右から左に移し替えることはクリエイティブではありません。もちろんキュレーションでもありませんね。