セミナーや勉強会など、有り難いことに「人に何かを教える」場があるのですが、
その時に自分は日本語教師の経験から心がけていることがあります。
※自分は日本語教師の資格「日本語教師養成講座において420時間以上の教育を受けていること」を満たしています。
分かりやす過ぎることのリスク
何でもかんでも分かりやすくして、「頭を使わずに理解出来る」ようにしてしまうのは、すごく相手のことを考えるとよくない。
算数の問題で「解答」を教えてしまうと、その瞬間は分かっても、数日後にはその問題が解けなくなってしまうそう。つまり「知っただけで理解できない」それでは何の意味もない。
情報と伝える相手によって基準は変わる
分かるやすいとはどういうことをいうのでしょうか?
分かりやすいの判断基準は情報を受け取る人と目的によって異なります。
学術研究の文献などは専門家以外には、それが日本語なのか?と思うほど分からないものです。
ですが、専門家からしてみれば専門用語を使ってもらったほうが、わかりやすく、小学生でも分かるような言葉で言われると逆に分かりづらくなります。
普段使っている日本語も同じです。日本人は日本語の専門家です。
(日本語は日本人にとっては当たり前なことすぎて、訓練なしでは正しく日本語を教えられません)
たとえばこのようにひらがなだけでぶんしょうをかかれてしまうとにほんじんにはぎゃくにわかりづらくなります。
あるていどはかんじというせんもんようごをつかわないとよみづらいしわかりづらいですよね。
日本語を学ぶ海外の人にしてみれば「漢字」はハードルが高い専門用語と言えます。
このように「情報を受け取る人」と「なぜその情報を届けるのか」によって分かりやすさの基準は変わります。
分かりやすいとは?
理解するのが簡単である。また、見つけるのがたやすい/広辞苑
ここが重要です!わかりやすいとは理解するのが簡単であることなのです。
ただ単に内容が簡単ならそれでいいのかというと、それではダメなことが分かります。
理解するとは?
物事の道理をさとり知ること。意味をのみこむこと。/広辞苑
物事を「理解していること」と「知っている」は違いますよね。
自分で思考しなければ理解できないし、身にも付かない
理解するには、なんでもかんでも簡単に説明すれば良いわけではありません。
ある計算式を勉強するのに、先生が各問題の解き方と回答を教えてくれたら、自分で頭を使って計算式を解く必要がないのですから教わる側は楽です。
その時は簡単に問題が解けるので分かった気になります。
でも、それで理解したことになりますか?
同じような問題が出た時に解くことができますか?
日本語がわからない人に日本語で日本語を教えられるのが日本語教師
「あいうえお」から分からない海外の人に日本語で日本語を教えられるのが日本語教師です。
直接教授法という手法で、日本語で説明をして、絵や写真を見せるなどして、意味を直接理解する方法です。
この直接教授法というのは外国語教授法で最も効果的であると言われていて、授業中は日本語しか使いません。(かなり難しい教授法です)
この教え方は、答えを間接的に提示します。
「猫」という言葉を教えるなら、生徒に「猫」と他かの生き物との違いを大量に見せて、生徒が「猫」がなにかを気づき「猫」という言葉を理解するという流れです。(発言にも神経質すぎるほど気をつかいます)
「猫」という言葉を生徒がわかる言語で説明すると、生徒の理解は早いですが、直接法に比べて「理解する為の思考」が働かないので身に付きません。
理解しようと頭を使って必死に考えるからこそ、理解が深くなり身に付くのです。
本当に相手のことを思えば、楽をさせないことも重要です。
そもそも教えるのは誰の為か?教わる側の為ですよね?
脳みそに汗をかいて、頭痛がするぐらいで丁度いい
筋力トレーニングもそうですが、自分が楽にできる範囲のことをやっていても筋力は増えません。
現状維持とは後退です。
今、自分ができる範囲内のことしかしていなければ、それは後退一直線です。
自分の個人的な見解ですが、セミナーや研修など「学ぶことが目的」の場合、
その情報を得て、理解する為に脳みそに汗をかいて頭痛までするぐらいの内容が自分の成長にも丁度いいと思っています。
自分から何かを得よう、吸収しようと思って教わっている場合は、それぐらいでないと満足できません。
株式会社ソーシャルメディア研究所のコミュニティマネージャー養成講座の時は、講座が終わると頭痛がしてました。笑
そのお陰で、能力値が格段に上がり今の自分があります。
都合がいいセミナーにはしたくない
このような考えから、自分のセミナーでは聴講してくださっている方に「脳みそに汗をかいてもらう」ように、少し内容のハードルを挙げています。
必死に理解しようをする。必死に考える。
だからこそ、しっかり理解もできるし身に付くと考えています。
セミナーの感想が「分かりやすかった。楽しかった」ではなく「すぐに実践したい」「目から鱗だった」となってもらえるのが、自分のセミナーの目標です。