新年度を迎え、会社がソーシャルメディアへの取り組みを強めるということで、4月からソーシャルメディア担当になったという方からご相談を頂きました。
その会社は社員する7名と小さいメーカーさんだそうです。初めてソーシャルメディア担当になり、どうしたらいいのかアドバイスが欲しいとのことで、せん越ながら、アドバイスをさせて頂きました。せっかくなので、ブログにも書き残しておこうと思います。
これが全てだとは思いません。もっと色々な要素があるでしょう。それでも僕が日々意識していることが少しでも参考になれば幸いです。
ソーシャルメディア担当者の心得
コミュニティマネージャーという仕事を知る
WEBマスターの手帳(遠藤)は、あえてソーシャルメディア担当者という言い方をしていますが、海外では「コミュニティマネージャー」という立派な職業です。
ソーシャルメディア上で企業と商品やサービスのファン(ファン同士も含む)とが交流する場(コミュニティ)の形成を手助けし、管理し、ブランドコミュニティへと成長させる役目を持つ人で、ファン同士を仲介したり、コミュニティの質が落ちないように(荒れないように)リーダーシップを取る人です。
企業の代表としてコミュニティに参加する人でもあります。AKB劇場の劇場支配人のようなイメージですね。
目的を明確にしておく
ソーシャルメディアを潜在顧客との関係構築の場とするのか、既存顧客との関係構築の場とするのか。どうしてソーシャルメディアを使うのか、など目的を明確にしておきましょう。
ソーシャルメディアを使っていくうちに、気がついたら手段が目的になっていて、進む方向が見当違いになっていたということのないように。
誰とつながるのかを明確にする
ソーシャルメディアにおいて「関係性」は外すことのできない要素です。誰とどんな関係を築きたいのかをしっかりと意識しましょう。
コンテンツ作りと同じです。ペルソナをしっかりと作り、関係を築く「特定の1人」が常に見えているようにしましょう。
むやみやたらに手を広げない
次はYouTubeだ!次はInstagramだ!と流行に流されてはいけません。
もちろん、多くのソーシャルメディアを使うのは良いことですが、運用するアカウントが増えれば、やることも増えます。Facebook、Twitter、YouTube、Google+、Instagram、Pinterest・・・と手を広げすぎて、どれも中途半端になり、非アクティブな状態になったのでは本末転倒です。
運用ルールを決める
複数人で運用するのなら「運用ルール」は必須ですが、1人であったとしてもルールを作っておくことで「ブレない運用」ができます。運用ルールは印刷して目に見えるところに置いておくのもいいですね。
後述しますが、どんなコメントに反応して、どんなコメントは無視するのか?、炎上した時はどうするのか?どういうスタンス(キャラクター)で投稿したり、返答したりするのかも決めておきましょう。
イメージトレーニングしておく
この投稿したらどうなるのかをポジティブ面、ネガティブ面ともにイメージしておきましょう。炎上などは大抵、予想外なところで始まりますが、炎上したらどうするのか?をイメージトレーニングしているのと、していないのでは、対応に歴然の差がでるでしょう。
社内で根回しをしておく
「いつどんな投稿をするのか」を社内で共有しておきましょう。特にお客様と接するポジションの人には「◯月◯日の何時に□□□の投稿をします。△△△という問い合わせがあるかもしれません。」など共有しておくと、必要のないトラブルを防ぐことにもつながります。
コンテンツ作りにおいても、他部署からの情報は欠かせません。実店舗があるなら実店舗にも足を運びましょう。会社に関わる人と仲良くしておいて損はありません。
必要以上に気を病まない
「想定している人」以外から、ネガティブなコメントが寄せられることがあるでしょう。誹謗中傷なら無視するのが一番です。ほっておきましょう。
そのコメントに対して反応することで、お互いに幸せになれるかどうかは1つの基準にするものいいでしょう。
「誹謗中傷ではない」けど気を病みがちなコメントもあります。親切心から指摘をしてくれる方もいるでしょう。でも、その人が「繋がりたい人」なのかどうかの判断を忘れてはいけません。耳を傾けつつも振り回されてはいけません。
自分もアクティブにソーシャルメディアを使う
Facebookは自社のアカウント運用の時しか使っていないという担当者さんがいらっしゃいますが、プライベートでも積極的に使っている方と比べたら、投稿やコミュニケーションの質が違います。
各ソーシャルメディアには、それぞれ住んでいる人が違います。住んでいる人が違えば、雰囲気や空気感も変わります。
他のFacebookページではどんな投稿がされていて、どんな反応があるのか?いろいろなFacebookページを選り好みせずにフォローして、研究しましょう。
各ソーシャルメディアの特性を把握する
反応されやすいコンテンツはどんなものなのかを把握しましょう。各ソーシャルメディアごとに、どんなコンテンツの反応がいいのかを見ましょう。そして、そこから自社が繋がりたい人たちに合わせたコンテンツを作ることが大切です。
それぞれのソーシャルメディアのプラフォームとしての特性もしっかりと把握しておきましょう。
自分が自社の一番のファンになる
ソーシャルメディア担当者(コミュニティマネージャー)は誰よりも、自社のファンであり、商品やサービスのファンであるべきです。自社を好きでもない人がコミュニティを運営できるわけがありません。
企業のエバンジェリストととして商品やサービスだけでなく、企業の魅力を伝えましょう。
スターウォーズを一度も見たことが無い、ファンでもない人が「スターウォーズコミュニティ」を運営できると思いますか?短期的にファンを装うことができるかもしれませんが、必ず偽りの仮面は剥がれるでしょう。
ソーシャルメディアの時間軸に慣れる
とにかくスピードが速いのがソーシャルメディア。故に、少しでも遅れをとるとはるか彼方まで置いていかれます。最新の動向を仕入れることも大事です。
そんなスピードが速いソーシャルメディアでのコミュニケーションもスピード命です。1日だって待たせたらダメです。できる限り最速で返答しましょう。
失敗を恐れない
失敗を恐れて、挑戦ができなくなると、あっという間に「つまらないアカウント」になってしまいます。「これ面白いね!」という投稿はチャレンジからしか生まれません。
積極的な失敗が許されない会社だとしたら、ソーシャルメディアに手を出すべきではないかもしれません。タブーとされていることをしなければ、そうそう簡単に炎上は起こりません。
自分も友達や家族にシェアするかを想像する
ソーシャルメディアで投稿するときに、自分もファンとして、その投稿に「いいね」したり、友達や家族に「シェア」するかどうかを想像してみましょう。
自分が「いいね」をしたいと思わない投稿はすべきではありませんね。
ゆるい関係を築く
ソーシャルメディアでは、ゆるい関係を目指しましょう。出会っていきなり求婚してはいけません。「朝の通勤時に会うご近所さん」ぐらい、ゆるい関係をまずは築きましょう。
ゆるい関係の中から「熱烈なファン」に人が現れてきたら、その人をうまく巻き込みながらコミュニティを広げていきましょう。コミュニティ内の人すべてで相思相愛の夫婦茶碗
決定権はユーザー側にあることを忘れない
決して、ファンやコミュニティをコントロールしようとしてはいけません。臭いものに蓋をするような行為は、絶対に止めましょう。
会社にとって良いことを書かせようとしたり、ネガティブなことを削除したり(スパムは別)するのは止めましょう。
相手のドアを蹴破ってはいけない
繋がりたい人に自分たちを見つけてもらえるようにしましょう。決してプッシュしてはいけません。ガツガツした肉食系はソーシャルメディア担当者としては危ういかも。
相手のテリトリーに許可なく踏み込まないこと。繋がりたい人の投稿へ、自社への誘導コメントするなど、ただのスパム行為です。
5つのCを意識する
ソーシャルメディア担当者は「Curation(キュレーション)」「Content(コンテンツ)」「Creation(クリエーション)」「Connection(コネクション)」「Community(コミュニティ)」の4つを意識しましょう。
業界の情報をキュレーションするのも良いですが、まずは自社内の情報をキュレーションしましょう。そして自社オリジナルのコンテンツをクリエーションし、ユーザーとコネクションを持ち、コミュニティへと導いていくことが大事です。
コンテンツこそがコミュニケーションツールであることをお忘れなく。
外部要因による影響を受けない目標を持つ
ソーシャルメディア運用の初期に「外部に左右される目標」を作ってしまうのは危険です。いいね数やシェア数などは大事な指標の1つですが、良くも悪くも自分で管理することのできない数字です。
毎日、1回は投稿する。週に1本は動画を公開するなど、自社内で管理できる数値を目標にしましょう。そして、少しづつ外部要因による目標へシフトしていくのがオススメです。
6ヶ月間は信じて続ける
運用し始めの時期は、視界5メートルのような濃い霧の中を歩いているように思えるかもしれません。モチベーションも下がり、他のことを優先したくなってしまうかもしれません。
それでも信じてコツコツ進みましょう。継続なくして成功なしです。検証するためにも時間は必要です。
ソーシャルメディアを好きになって、楽しむ
最後に、何よりも大事なことです。ソーシャルメディアを好きであること。そして楽しんでいること。
嫌々、やっていて良いものは作れません。ファンの人にも、嫌々やっていることは伝わるでしょう。これまで挙げたこと、すべて無視しても「楽しむこと」さえ出来ていれば、きっと上手くいくでしょう。