今回は、友人の会社にお願いをして、SNSの取り組みについて、お話を伺ってきました。成功事例や失敗事例ではなく、中小企業のリアルなSNSの現場を共有できたらと思っています。
SNSで企業アカウントを運用するといっても、担当者は専任ではなく、メインの業務があっての兼任でやっているという会社が多いと思います。
今回、お話を伺ってきた会社も、兼任で頑張っている会社です。それでも日々、試行錯誤をしながら、半年でフォロワーが2倍に増えるなど成果もでてきているので、参考になると思います。
盛岡にあるベーカリー「PanoPano」
PanoPanoは、盛岡市にある石窯オーブンを備えるベーカリー。運営しているのは「白石食品工業株式会社」。
スペインから職人を呼び寄せて作られたスペイン製の石窯もある、本格派のベーカリーです。
SNSの活用に取り組んでいて、InstagramとFacebookを使っており、とくにInstagramに力を入れているとのことです。
前担当者が産休に入り、現担当者3人が引き継いで試行錯誤の6ヶ月
※今回、インタビューに答えていただいたのは、3人のうちの2人
遠藤:現状のSNSアカウント運用は、どのような体制なのでしょうか?
アカウントは、3人で管理しています。現在は店舗のスタッフ2名と本部の1名で運用しています。メインの仕事は例えば、店舗で使うポップとかを作ったりとか、新商品の開発とかをやっています。
昨年の夏くらいまでは、デザイナーの方が1人で担当していたんですけど。産休に入られるということで、今の3人で引き継いで分担しながら、約半年やってきたところです。
デザイナーの方が担当されていたときは、ちゃんとカメラで撮ったり、すごかったので、そこから引き継いで、どうしようという感じではじまりました。引き継ぎの資料や、引き継ぎ期間はあったのですが、いざ自分たちだけでやると「どうやって撮ったらいいかな?」「これでいいのかな?」という感じでした。なので、まずは他のアカウントを真似するところから始めました。
それでも、デザイナーの方のように写真に文字をいれたり、加工をしっかりやったりは、技術的にも時間的にも、私達だけでは追いつかないので、私達ができる範囲でやっています。
最初の頃は、投稿のテイストもデザイナーの方のときとは違っていて、ぐちゃぐちゃだったのですが、最近は統一感がでてきて落ち着いてきました。
各々が自主的に取り組んで、ルールは最低限のことだけ決めている
遠藤:どんな役割分担をしていますか? 3人で話し合いをして考えたりしていますか?
できる人がやる感じです。とはいえ「これをこの日にあげるね」みたいなのを3人で共有しています。あとは「何日にこの投稿を私があげるので、何日にこれをあげてもらえますか」といった調整はしています。
1つ1つの投稿を3人で集まって話し合ったり考えたりはせず、各々が自主的にやっています。正直、各自、メインの仕事があるので、時間の余裕があるときに投稿するということが多いですね。
遠藤:投稿ルールは決めていますか?
Instagramの加工フィルターは使うものを決めています。ハッシュタグも定形を決めて、投稿する写真に合わせて追加をしています。使うフィルターを決めたことで、投稿に統一感がでていいかなと思っています。
投稿する時間はだいたいお昼の12時から13時か、夕方にしています。シフトの関係もあるのですが、できるだけ見てくれる人が多い時間に投稿するようにしています。
文章についてのルールは決めていませんが、なるべくバラバラにならないようにしています。あとはスタッフ同士で投稿前に見せあって「これで良いよね」みたいなことはしていますが、チェックの決まりは作っていません。
直近の投稿で、同じようなものが続かないようにはしています。パッと見たときに、同じような写真(丸いパンの次に丸いパンなど)を撮っても、あまり変わり映えがしないので、変えるようにしています。
以前に感謝祭があったときに、チラシのような文字が載った写真を載せたり、パン以外のものを宣伝を2、3日に一度とか、連投していたときがあって。そのときに、一気にいいねとかが減っていて。こちらから押しつけるような投稿は、やっぱり、見ている人もいいと思わないんだなというのが、はっきり分かりました。やっぱり、普通に、お客さんが見て、パッと見で美味しそうと思うもののほうが、いいねは多いです。
遠藤:他のアカウントを参考にしたりはしていますか?
Instagramでは、同じハッシュタグを使っている他の投稿を見て、アングルや写真の参考にしています。パンの写真もパンの切り方や撮り方の参考にしています。
遠藤:どんな投稿をするか悩むことはありますか?
基本的には「新商品」を投稿しているので、月初めはネタがあります。中旬以降に「なにを載せようかな」と考えることはあります。
週に1回から2回くらいしか投稿していないので、中旬以降は、店内のパンを載せたり、フェアや出店情報を投稿しています。
遠藤:FacebookとInstagramで投稿内容を使い分けていますか?
基本は連携させています。
PanoPanoでは「パン教室」を開催していて、そこで撮った写真(教室の様子やお客様の写真など)など、レポート的な投稿はFacebookでだけにしています。
遠藤:振り返りなどはしていますか?
投稿の振り返りは「いいね数」を見ています。でも、みんなで集まって時間を作っての振り返りまではしていません。
会ったときに「このときのあれは良かったですね」とか、「今度これをやるときはこうしたら良いですよね」と口頭で話して、「じゃあ、こういう感じで撮るね」みたいな感じで進めています。
遠藤:SNSでのコミュニケーションはどんなことをしていますか?
「コメント」は全部返信をしています。これはInstagramだけでなくFacebookでも返信しています。本文に書いていないことをつけ足したり。「こういうのが入っていて、こういう味がしますよ」とか、「レンジでチンすると良いですよ」とか、一言添えて「ありがとうございます。」みたいなのが多いです。
お客様の投稿には「いいね」を押すだけで、リポストしたり、シェアしたりはしていません。それをやり始めると、追いつかなくなるというか、投稿が多くなりすぎてしまうので。
あとは、店舗で接客をしていると「Instagramをみて来ました」と県外からお越しになる方がもいらっしゃって、やっていてよかったなと思っています。
遠藤:FacebookやInstagramの広告は使っていますか?
イベントや割引キャンペーンのときに使っています。そのときはFacebookよりもInstagramのほうが反応がよかったです。たぶん、ターゲット層とあっていたのかなと。ただ、常に広告を出すということはしていません。
遠藤:店舗で、他のスタッフからの反応はどうですか? 協力的ですか?
どうしても時間帯とか、パンの焼き上がる時間も違ったりするので、写真を撮れるときと、撮れないときがあります。私達で撮れないときは、店舗にいるスタッフに、お願いをして写真を撮ってもらったりと、協力をしてもらっています。
あとはSNSで頂いた「スタッフの態度」など店舗へのご指摘のコメントは全員に共有しています。
お客様に参加してもらうようなイベントもやっていきたい!
遠藤:今後の目標や展望はありますか?
最近、フォロワーが急激に増えているので、これからもフォロワーが増えるようにしていきたいです。フォロワーが半年で2倍近くに増えたのですが、いいね数がそこまで増えていないのが、今後の課題です。
あとは、文章を考えるのは、まだ難しいです。ひとこと添えるぐらいの文字数でいつも迷いますね。ハッシュタグも以前はたくさん付けていたのですが、今は最低限に減らしています。やはり文字よりも写真だと思っているので。そのあたりの加減が難しいですね。
シフトやメインの仕事の影響で、「今日、あれを投稿したかったけど、会議を抜けられなかった」とは「手がまわらなかった」ということもあって、思うように投稿できないこともあるので、改善していきたいです。
企画としては「フォトキャンペーン」をやりたいなと思っています。以前に一度、実験的に「店舗でパンを撮って投稿しよう!」のようなキャンペーンをやったのですが、当時はフォロワーも多くなくて、パンは売れたけど、投稿までして参加する人は少なくて。いまはフォロワーも増えてきたので、お客様に参加してもらうイベントをやってみたいと思っています。
「投稿への反応」は嬉しいし、やりがいがある!
私達が投稿したものに対して、返信や、コメントがきたり、投稿を見たと言って来店してくださる方がいると、良かったなと思います。
あとは、毎回、数字で出るので「いいね」が多いと、嬉しいです。
【遠藤の総括】自分たちでできることをできる範囲でコツコツとやっている
1人でやるのは大変だけど、3人で協力しながら取り組んでいるのが功を奏しているように思いました。1人で試行錯誤するよりも3人で協力して試行錯誤できるのは大きいですよね。
もともとデザインや写真撮影も初心者だったとしても、自分たちのできることを、できる範囲でコツコツとやっていくことで、新たなブランドイメージを作っていっているのも素晴らしいと思います。
店頭にポップをおいてInstagramやFacebookの周知や、ハッシュタグの周知もされているので、やるべきこともやっている印象でした。
まだまだ思うようにいっていないところもあるようですが、半年が経って、いろいろとわかってきたそうなので、今後の発展も楽しみです!